ジャンプ読切批評
2005年:1号 2号 3・4号 5・6号

2004年:46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号


5・6合併号
スベルヲイトワズ/森田まさのり
森田氏の久々の本誌掲載作。
昨今のお笑いブームからか知らないが、お笑いをテーマにした学園モノ。
やはり森田氏のストーリーテリング能力は一級品で、読後感も爽やかでした。
ただ、難を言えば劇中ネタですね。
「お笑い」をテーマにしている以上、ネタ作りは欠かせないものです。
森田氏の場合はボケ、ツッコミともに結構捻ってると思います。
でも漫才は「テンポ」と「間」が命。それを静止しているマンガの上で表現するのはかなり困難だと思います。
文章と絵だけで笑いを取るならば、やはり「言葉」を捻って捻って捻るべきかと。


3・4合併号
MP0/叶恭弘
流 石 叶 だ な 。
相変わらず叶氏のエロシチュはそそられますなぁ(笑)
主人公が中学浪人というのも随分ぶっ飛んでて叶氏らしいです。
ただ、話的に言えば単純過ぎて、これが仮に連載となってもすぐに飽きられそう。
前々から原作を付ければ叶氏は売れると言われてるがあながちウソではないのかも。


2号
キノコ島の奇跡/真波プー
この人は青マル掲載のころから異彩を放っていて一部の人から絶賛されたということで期待していましたが・・・。
あの絵柄は手塚っぽいと言えば最後ですがジャンプっぽくないというか、古臭いという印象です。
擬音が実体化するというアイデア自体、「ドラえもん」をはじめ多くのマンガに取り入れられていることがらで新鮮味が薄い。
ただ、あえて古臭さを取り入れることによって独自の世界を作っているのは評価に値できます。


1号
デビルヴァイオリン/大竹利明
絵も話の構成も充分に出来ている。
ただ、演出が下手だと思うんだな。主人公のヴァイオリンの凄みとか、お邪魔キャラの演奏のヘタクソぶりとかがほとんど伝わってこない・・・。
全編「ストーリーマンガ」であることを意識しすぎて表現が縮こまってるという印象。
少々ギャグマンガのようになっても構わないから、もう少し大げさな表現をしてみてはどうだろう。
あと、随所に「エンジェル伝説」(八木教弘)のパクりとあるが、読んだことがないんでなんとも言えません。ごめんなさい。



・52号
よしっ!!/福島鉄平
あまり見かけない弓道マンガ。
始まりは非常に良かった。(特に部活紹介のときの弓道部のパフォーマンスは素直にかっこよかった)
が、キモである「どうして弓道に魅力を感じたのか」という描写がほとんど無く、戸惑ってしまった。
弓道の描写がうまいだけに勿体無い。
絵柄もクセが少なく、非常に見やすかったです。

HALLOO SUNSHINE/西公平
なんだかこの人、段々とスランプになってきているのか?
「グラスゴーの呪い」は設定の仕方次第では非常に魅力的な要素なのに、発動の要素が捻りすぎてわかりづらい割りに呪いの内容がただ力が上がるという単純なものだったのは勿体無い。
また、主人公の傍若無人が目立つ。「グラナダ」でもそうだったが、いくら少年だからといっても少しは責任感を持たせたりしたほうがいいだろうに。
おまけに、絵もただでさえカンベンな「ワンピース系」な上、かなり雑で読みづらさ倍増・・・。
才能はあるはずなんです。だからこそもっと精進してほしいのです。


・51号
スーパーメテオ/高橋一郎
バレーボールとお笑いとファンタジーと青春とをごった煮にしたら絶妙な味わいになった不思議なマンガという印象です。
まぁ最近の「本格スポーツマンガとして始まって結局女性媚びやギャグに走る」という悪循環になるのなら初めからその要素を全てつめこむというアイデアはいいと思います。
掛け合いトス→ツッコミスパイクの流れは拍手もの。
問題は「絵」。うすた京介のような「実はうまいけどわざとヘタに書いている」ようなものではなく、単に汚い絵になっているのが致命傷。
絵は描けば書くほど上達するものなので、今後に期待しましょう。

師匠とぼく/川口幸範
4月期十二傑賞受賞作。
シュールと王道の間のような展開や、独特のセンスが印象に残る作品。
だが、シュールと王道の間なだけに非常に中途半端に感じるのがなんとも。
設定も薄っぺらいゆえ、キャラクターにも感情移入しづらかったのでもう少し設定に厚みを持たせるといいかも。
あのセンスがあればシュール路線のほうが成功しそう。

スクールバトル'04〜メガネVS天然〜/前田竜幸
「テニスの王子様」の代原。
島本和彦氏の「炎の転校生」のノリをそのまんま描いたという感じ。
とはいってもパクリとかではなく、オマージュだとは思うが。
ギャグが所々滑っていて、ツッコミも弱い。良くも悪くも代原レベルを脱していない。
これからは島本流をベースに、オリジナリティを積み上げていけば宜しいかと。


・50号
ストライカー義経/加地君也
我らが加地先生の久々の読切です(笑
絵のほうは「片目癖」は治ったようですが、「ウインク癖」は所々残ってるのが残念。
ストーリーが王道というべきか、それともベタというべきか・・・。ここではあえてベタと呼ばせていただきます。
義経関連のものが八艘飛びしか無かったのも、無理に義経にこぎつけた感じが強いです。
あと序盤に義経が軍略うんぬん言ってたのに最後は根性論だったりと、色々穴が多いのがなんとも。
頑張ってよ加地せんせー・・・。見ていて悲しいよ・・・。


・49号
退魔師 ネネと黒影/蔵人健吾
えらく進歩したなぁ。絵のレベルは格段に上昇している。
ただ、「★SANTA!★」の頃から思っていたのだがこの人、特異な設定を作る努力をしているのにそれを生かしきれていないんだな。
「退魔の技は使えない代わりに七つ道具を使う」ってのもドラえもんみたいで面白いのに個々の道具の使わせ方がイマイチな気がする。
でも、手塚賞と赤塚賞を同時受賞した底力を見せてもらったよ。


・48号
マッストレート!!/吉川雅之
ここから打ち切り作家リベンジマッチが始まります(笑
「キックスメガミックス」の頃と比べると線が太くなっていて、「トッキュー!(作:久保ミツロウ)」みたいな印象。
ボディビルに必要な筋肉と格闘技に必要な筋肉が違うのは事実ですが、最後のストレートはあんな威力が出るのかと疑問の思いました。
あと、あのキモい笑顔は狙ってやってたのでしょうか?

ハピマジ/KAITO
HUNTER×HUNTERの代原。
代原レベルとは思えない絵、ギャグのセンス、間の取り方。
オチが強引な気もするが普通にギャグマンガとしては合格ライン。

・47号
湖賊/久世蘭
この久世氏は女性らしく、それ故絵も見やすい。
ただ、設定が多くて読切では積載量オーバーな感じ。
話はそこそこには読めたので残念。


・46号
セイテン大帝/草薙勉
西遊記を元にした、子孫達の話。という時点で新鮮味が薄い・・・。
キャラが中途半端で、バカキャラかと思ったら突然すごい洞察力を見せたりとまとまりが無い。
あと、三蔵の子孫はいなくても良かった気がする。






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